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熱工学分野

熱は、エネルギー・環境問題において中心的役割を演じています。また、一見すると、熱が主役でないような工学問題においても、実際には熱の制御が鍵となる場合があります。本研究室では、次世代分散型エネルギーの担い手として脚光を浴びるマイクロガスタービン・燃料電池のハイブリッドシステムの解析や各個別要素の性能向上に関する研究を中心に、種々の熱システムを対象として、その現象解明と最適化を図るとともに、新たな熱システムを開発することを目的として幅広く研究をおこなっています。

最近の主な研究テーマ

  • 触媒燃焼を熱源とした二重細管型ジメチルエーテル改質器の開発
  • 触媒燃焼の発熱による加速を利用した推進方法に関する基礎的検討
  • 凝縮器と蒸発器とが一体化したケミカルヒートポンプの作動試験と基礎特性解析
  • シールレス平板型SOFC構造の提案と基礎特性の実験的評価
  • SOFCの発電性能に及ぼすカソード電極メゾ構造制御の影響
  • 細管内を上昇する単成分気泡流における気泡成長の数値解析

教員

吉田 英生 ( Hideo YOSHIDA )

吉田 英生教授(工学研究科)

研究テーマ

エネルギー有効利用の1つの柱である分散型電源につき、マイクロガスタービン、燃料電池、ヒートポンプなどの要素技術やシステムについて重点的に研究しています。一方で、マイクロマシンなどの小スケール、逆に宇宙などの大スケールの現象を研究対象とする場合もあります。

連絡先

〒615-8540 京都市西京区京都大学桂
(桂キャンパス Cクラスター) C3棟 b4S07室
TEL: 075-383-3650
E-mail: sakura@hideoyoshida.com

担当科目

学部大学院

熱力学1 (2年前期)
熱力学2 (2年後期)
機械システム工学実験1/2/3 (3年)
Energy and Resources II

熱物理工学 (前期)
ジェットエンジン工学 (後期)
航空宇宙工学特別実験及び演習 第一/第二
熱工学セミナー (後期)

岩井 裕 ( Hiroshi IWAI )

 准教授(工学研究科)

研究テーマ

熱工学・伝熱工学を軸として、広くエネルギー有効利用に関する研究を行なっています。最近では、数ある燃料電池の中でも発電効率が高い固体酸化物形燃料電池(SOFC)に注目し、実験と数値解析による現象解明とそれに基づくシステム高度化をめざした研究を行なっています。初期の燃料電池技術は宇宙開発とともに進展しました。今後の進展により順調に民生用の開発が進めば、エネルギー変換装置の選択肢が広がることで、より理想に近い効率的なシステムの組み合わせが可能になると期待されます。

連絡先

〒615-8540 京都市西京区京都大学桂
(桂キャンパス Cクラスター) C3棟 b4S09室
TEL: 075-383-3651
E-mail: iwai.hiroshi.4x@kyoto-u.ac.jp

担当科目

学部大学院

伝熱工学 (3年後期)
物理工学演習2 (3年後期)
Energy and Resources II

ジェットエンジン工学 (後期)
航空宇宙工学特別実験及び演習 第一/第二
熱工学セミナー (後期)

齋藤 元浩 ( Motohiro SAITO )

齋藤 元浩助教(工学研究科)

研究テーマ

古来から燃焼は人類の生活の根幹をなしており、その重要性は今なお変わりません。一方で、燃焼は流体力学・伝熱・化学反応といった数々の問題が絡み合う複雑な現象です。その燃焼現象の複雑さを理解し、上手に利用すること目的として燃焼を中心とした熱工学の研究をおこなっています。また、水素生成を目的とした炭化水素などの燃料を改質に関して、実験と数値計算の両面から取り組んでいます。

連絡先

〒615-8540 京都市西京区京都大学桂
(桂キャンパス Cクラスター) C3棟 b4N03室
TEL: 075-383-3652
E-mail: msaito@mech.kyoto-u.ac.jp

担当科目

学部大学院
機械製作実習 (3年前期)

物理工学演習2 (3年後期)
機械システム工学実験1/2/3 (3年)

航空宇宙工学特別実験及び演習 第一/第二

岸本 将史 ( Masashi KISHIMOTO )

特定助教(工学研究科)

研究テーマ

連絡先

担当科目

所在地

〒615-8540 京都市西京区京都大学桂
(桂キャンパス Cクラスター) C3棟 b4S07室
TEL: 075-383-3650

研究テーマ紹介

超微細多孔質表面からの水蒸発を伴うハイブリッド気体軸受

マイクロガスタービンでは高回転、高温かつ頻繁な起動停止がある運転条件から、軸受に抵抗が小さく、高温下でも安定な気体軸受を用いることが望ましい。

しかしながら、気体軸受では高速作動条件下での不安定性、軸の過熱、起動・停止時の摩擦が問題になる。そこで上記の問題を解決しマイクロガスタービンに適した軸受として、超微細多孔質表面からの水蒸発を伴うハイブリッド気体軸受を提案する。

超微細多孔質表面からの水蒸発を伴うハイブリッド気体軸受は図-1に示すように、回転軸、超微細多孔質(平均孔径1.0μm程度)の軸受面、その軸受面を内面とする多孔質パイプに水を供給する給水部から構成され、軸受表面で水が蒸発し、軸受隙間に満たされた水蒸気を潤滑流体として用いる動圧気体軸受である。

多孔質パイプは水を満たした給水部の中に置かれ、毛細管現象により多孔質を通じ軸受面に水が輸送される。マイクロガスタービンの軸はタービンからの熱伝導により高温になっているが、水及び水蒸気の温度は、軸受隙間内の圧力に依存する飽和温度に保たれるため、高温の軸と水を保持している軸受面の間に大きな温度勾配が存在する。

そのため、高温の軸を熱源として軸受面である多孔質表面において水が蒸発し、潤滑流体としての水蒸気により軸受隙間が満たされる。なお、軸受隙間には大きな速度勾配が存在しているので、粘性散逸による発熱も僅かながら水の蒸発に寄与する。

このハイブリッド気体軸受には以下の利点がある。

  1. 軸受の安定化 軸受面からの水蒸発に伴う静圧が軸の振動を減衰するため、水蒸発により軸受安定性が向上する。
  2. 起動・停止時の優れた潤滑特性 多孔質を通して水を軸受隙間に満たすことにより、液体潤滑が可能である。
  3. 軸の冷却作用 軸受面からの水蒸発の際に高温の軸から蒸発潜熱を奪うため、軸が冷却される。

図-2に数値計算による軸心の軌跡の結果を示す。本研究で提案するハイブリッド軸受は従来の真円軸受よりも軸が安定して保持される。

図-1 ハイブリッド軸受けの構造

図-2 軸心の軌跡

ガスタービン高効率化のための全温一定膨張燃焼過程の導入

一般にガスタービンの効率改善にはタービン入口温度の上昇が望まれる。しかしながら、最高温度は材料の耐久性により制限されるため、ある有限の値に抑える必要がある。特にマイクロガスタービンでは、冷却が困難であることから、最高温度はある程度低くせざるを得ない。

本研究ではガスタービン、特に、マイクロガスタービンの熱効率向上の方法の1つとして、全温一定過程の導入を考える。そのサイクル図を図-3に示す。全温一定過程は、タービンにおける仕事抽出により低下するエンタルピーを燃焼で補うことにより実現するものと考える。

図-4に従来のマイクロガスタービンとの熱効率を比較したグラフを示す。図中の圧力範囲全域において、全温一定過程を導入したマイクロガスタービンは従来のガスタービンの熱効率を上回る。

現在、全温一定過程の実現へ向け、タービン動翼内における燃焼に関する実験をおこなっている。

全温一定サイクル図

図-3 全温一定膨張燃焼を導入したマイクロガスタービンのサイクル図

図-4 全温一定膨張燃焼を導入したマイクロガスタービンの熱効率

マイクロガスタービン用高効率再生熱交換器の研究

マイクロガスタービン(以下、MGT)の熱効率は、再生器の性能によって大きく左右される。小型分散型発電システムであることを念頭に置くと、 MGT用の再生器には、高い温度効率を低い圧力損失で達成すること以外にも、小型であること、低価格化につながる大量生産が可能な構造を持つことなどが要求される。

現在実用化されている20数kW以上のMGTでは、プレートフィン型もしくはプライマリサーフェス型のレキュペレータが採用されているが、低価格化を考えるのであればロウ付けを必要としないプライマリサーフェス型が有力な候補となろう。

プライマリサーフェス型熱交換器の性能はその伝熱面幾何形状によるところが大きいが、各種伝熱面形状の性能については、プレートフィン型ほど系統的な検討はなされていない。本研究室では現在、有効伝熱面形状についての実験と数値解析による検討をおこなっている。

伝熱面形状として最も一般的なのは、プレートを波形に加工したものであろう。壁面幾何形状が流れ方向に周期的に変化するようなチャネル(Grooved channel)についての検討はこれまでに数多くあるものの、壁面の温度条件を等温あるいは等熱流束として扱っているものがほとんどである。

実際の熱交換器においては当然そのような理想的な境界条件は成立しない。 高温側・低温側流れとプレート内部の熱伝導を同時に考慮することで、より実機に近い系の検討が可能となり、そこから得られる知見はプレート最適形状の決定にも資するであろう。

図-5 プレート熱交換器コアの模式図と熱交換要素における熱流動解析結果の例

固体電解質形燃料電池(SOFC)に関する数値解析的研究

燃料電池は発電効率が高く排気がクリーンな発電装置であり、従来の大規模集中発電における様々な問題を解消する新たな電力供給源となることが期待されています。中でも、約800℃~1000℃という高温で作動する固体電解質形燃料電池(SOFC)は、マイクロガスタービンとハイブリッドサイクルを組むことやメタンなどの炭化水素燃料を直接投入することが可能であるため、分散型発電システムの構築に最適なデバイスであると考えられており、実用化に向けて広く研究開発がおこなわれています。

SOFCの開発において最も重要な課題は、セル(電池を構成する単位ユニット)の温度管理です。SOFCは作動温度が高温であるため上記のような利点がありますが、セルに大きな温度勾配が生じると熱応力によってセルが破壊されるという欠点もあります。そのため、セルの設計あるいは運転の際には温度分布を的確に予測することが極めて重要です。

そこで本研究室では、セル内で生じる様々な現象の影響を考慮した熱・物質移動数値計算モデルを開発し、これまで知られていなかったセルの温度分布に関する詳細を明らかにすることを目指しています。SOFC は電解質が固体であるため、セルの形状を比較的自由に設計できるという利点もあります。現在提案されているセルの形状には様々なものがありますが、本研究室では一般的な平板型と円筒型のセルを対象に研究をおこなっています。図-6は、円筒型内部改質SOFCセルの断面幾何形状と温度分布の計算結果の1例を示したものです。電気化学反応による発熱作用と内部改質反応による吸熱作用の影響で、周囲より温度の高い部分(赤)と低い部分(青)が生じている様子が分かります。

図-6  円筒型内部改質SOFCセルの断面幾何形状と温度分布の計算結果の一例