理念

1903年の人類初の有人飛行から100年あまりで航空機の世界は大幅に進歩し、現在では毎日10万便を超える商用航空機が運航されるに至っています。その数は今後さらに増加が見込まれており、高効率な運用を可能にする高度な技術が求められています。一方宇宙においては、1957年の人類初の人工衛星打ち上げから半世紀が過ぎ、現在では地球から数十億キロメートル離れた天体に探査機を送り込むまでに進歩を遂げています。また地球周辺には、観測・測位・通信等を目的とするさまざまな衛星が打ち上げられており、我々の生活に必要不可欠な情報基盤を提供してくれています。

人類にとって長年の夢であった大空の飛行はほぼ十分に実現した現在も、宇宙は人類にとって永遠のフロンティアです。そしてこのフロンティアを開拓するための科学技術として、これまで地球表面上で当然としてきた重力や圧力や温度とは全く異なる環境条件下での機械工学が要求されます。飛行体に必要とされるスピードや距離も飛躍的に増大し、大きさもある場合には不可避的に巨大となり、またある場合には極小化することも要求されます。さらに信頼性がなににもまして重要です。つまり、あらゆる意味で極限の科学技術が要求されるのが航空宇宙工学です。

当専攻では大別して、航空宇宙機の航行にかかわる航空宇宙環境との相互作用、航空宇宙機の推進とエネルギー、航空宇宙機の材料・構造強度、航空宇宙機のシステム・制御などを研究対象としています。航空宇宙工学というフロンティアを切り開くため、当専攻では基礎的な科学と工学を最重要視しています。いいかえると、第一の 使命は単に航空宇宙に限定されず新しい可能性に向けた先端工学の扉を開くこと、第二の使命は深い知識に基づいてオリジナルなアイデアを十分に創造できる科学技術者 を育てることです。

このような使命にこたえるため、教育プログラムでは工学のみならず数理物理に重点をおいています。同時に、いわゆるビッグ・サイエンス&エンジニアリングのひとつである航空宇宙工学では、国内外の組織が協力して行われる巨大なプロジェクトも 多いことから、そのような場でリーダーシップや国際性を発揮できるように教育する ことにも力を注いでいます。